「ふるさと納税」をきっかけに、地域の魅力を幅広く知ってもらう方法

自身が応援したい地方自治体に寄付すると、自らの税負担を減らすことができる制度、「ふるさと納税」。スタートから10年目を迎える2018年には納税総額が5,000億円超を記録しており、いまや一大ブームとなっています。しかし、そもそも本制度の目的はどこにあるのでしょうか?ふるさと納税を活用して「地域の魅力向上・人口増加」につなげた成功事例を交えて、見ていきましょう。

ふるさと納税制度の元々の目的とは?

「ふるさと納税」の元々の目的は、「自身が生まれ育った故郷に、自らの意思で納税すること」をサポートする点にあります。例えば、都内の大学へ通うために地方の町を出て、そのまま都内のメーカーに就職したAさん。「幼いころにお世話になった地元のために何かできないだろうか・・・?」と考えたときに最適な制度が「ふるさと納税」です。

この制度の特徴の一つは、納税者が自由に「ふるさと」を選択できること。幼いころに引っ越しを経験した方や、一時期だけお世話になった思い入れのある地域がある方など、「自分にとっての”ふるさと”」は人それぞれなのです。だからこそ、この制度では納付先の地方自治体を選ぶ際の制約がありません。

では、地方自治体や寄付先の地域にとっては、どのようなメリットがあるのでしょうか?

地方自治体、地域へふるさと納税制度がもたらすメリットとは?

自治体や地域の目線でみたとき、ふるさと納税には「①認知拡大」「②関与拡大」「③定住人口増」という3つのメリットが考えられます。それぞれ具体的に見てみましょう。

メリット① 地域の魅力・地場産品の魅力を知ってもらうことができる

1つ目のメリットは、地域の魅力に対する認知拡大です。

納税者は納税先の地域を決めるにあたり、その地域のことを知ろうとします。特典にあたる返礼品以外にも、その地域の特産物や独自の魅力など、多面的にリサーチを行う方も少なくありません。人々が”自らの意思で積極的に”地方の情報を集める機会だからこそ、地方自治体側は「いかに地域の魅力や地場産品をアピールするか」の勝負どころといえるでしょう。

メリット② 地域との関わりを増やしてもらうことができる

2つ目のメリットは、観光などの形で人々との関与を拡大できることです。

納税者の中には、その地域の魅力を知ることで「実際に足を運びたい」と考え、具体的なアクションを起こす方も珍しくありません。これまでに知ることのなかったふるさとの魅力に触れ、次の旅行の候補地になったり、カタログやネット経由で地場産品を購入したりするケースも出てきています。まずは多くの人に地域の魅力を知ってもらい、より深く関与してもらうための行動を起こしてもらうこと。この一連の流れを生み出し、一人でも多くのファンを創出することが、地方自治体のふるさと納税への取り組みとして求められています。

メリット③ 定住人口の増加につなげることができる

3つ目のメリットは、交流人口の創出、ゆくゆくは定住人口の創出にもつなげられる点です。

ふるさとと納税者との最も理想的な関係は、何らかの形で関与が継続できる形です。そこで、2018年4月からは国が地方自治体を支援する新たな取り組み、移住交流の推進を図る「ふるさと移住交流推進プロジェクト」が開始しています。「クラウドファンディング型ふるさと納税」とも呼ばれるこの取り組みは、事業に共感して寄付を行った方を「ふるさと未来投資家」と位置づけ、継続的なコミュニケーションを図るものです。

例えば、次のような取り組みが考えられています。

・ふるさと未来投資家が集まり、町づくりの意見交換を行なう場(ホームカミングデー)の開催
・住民と同様に公共施設を利用できる証明書の発行
・事業報告書、広報紙の送付

加えて、「ふるさと未来投資家」が将来的に移住した際には、納税先の地域から手厚いサポートを受けることができるようになっており、長期視点で地方自治体のメリットが期待できる取り組みとなっています。

ふるさと納税を活用した地域活性化の成功事例

では、ふるさと納税制度を通じて、実際のどのような成功事例が生まれているのでしょうか?今回は、北海道と鳥取県の2つの事例から、成功のポイントを見ていきましょう。

事例① 『子育て支援の充実で人口が増加』(北海道 上士幌町)

1つ目の事例は、北海道の中央に位置する十勝地方の上士幌町(かみしほろちょう)です。上士幌町では、ふるさと納税を活用し、認定こども園の保育料無償化、英語教育のための外国人講師の配置、少人数学級の実現など、安心して子育てができるまちづくりを進めています。

そして、寄附者との継続的な交流を図るための職業案内、移住体験ハウスの提供、移住体験ツアーなども行っており、結果として13年ぶりの人口増加(31人)を実現しています。翌年には71人の人口増も記録しており、人口の自然減が続く中での目覚ましい成果をあげている形です。

事例② 『ふるさとに愛着を持つ人たちのつながりを活かす』(鳥取県 日野町)

2つ目の事例は、歴史ある駅舎の再生により、にぎわいの創出を生み出したケースです。鳥取県日野町では、大正5年に建築された数少ない木造建築である近江鉄道日野駅があり、ふるさと納税による再生プロジェクトが立ち上げられました。「多くの人に愛されてきた駅舎を100年先まで残す」という意気込みで始まった本プロジェクトは、無事に成功。寄附者は駅舎再生記念イベントに招待され、当日は2,000人が集まったとのことです。

新たな駅舎内には、新たな交流の場として「カフェスペース」が設けられ、駅の新たな魅力も見出されています。こうした一連の取り組みは報道にも取り上げられ、日野町のPRにもつながりました。

今回ご紹介した成功事例では、いずれも地域の魅力を知ってもらい、愛着を持ってもらうための取り組みに重きが置かれていました。これらのポイントをキーワード化するならば、「実際に体験してもらう」「催しに参加してもらう」というものになるでしょう。

ふるさと納税にも様々な形がありますが、やはりその地域を長期的に活性化していくためには、「観光客(交流人口)の増加」や「定住人口の増加」が欠かせません。そのような視点を持ちながら、納税者が真に求めるニーズをくみ取った上での仕組みづくりを考えていきましょう。

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