旅館・ホテルが取り組める災害・感染症の風評被害対策

非日常的な体験を価値として提供する「観光業」。地域のイメージがその魅力を左右するからこそ、災害や感染症が広がった際には、いわれのない風評被害を受けるケースがあります。そうした状況に置かれたとき、旅館やホテルを営む事業者はどういった対応を行うべきでしょうか。本記事では、その対策についてご紹介します。

風評被害が広まる原因は?

風評被害は、情報の受け取り手が誤ったイメージを抱いたり、過度な不安を感じたりすることから発生します。例えば、特定の地域で感染症が発生したことによって、その地域を旅行することが著しく危険であるように誤解してしまうケース。その他にも、感染症が発生している地域から距離があるにも関わらず、その周辺地域が感染症の流行地域と同一視されてしまう場合に生じます。

では、そもそもこうした被害は何故、発生するのでしょうか。その原因としては、次の2つが挙げられます。

正確な情報の不足

1つ目に挙げられるのは、正しい情報の不足です。感染症が発生した初期段階では、それらがどれほどの危険性を持ち、どうすれば予防することができるのか、科学的な根拠に基づいた情報が乏しいことがほとんどです。どんな対策を講じればよいのかわからないことが、観光客離れを引き起こす原因となります。

地理的な誤解

2つ目は、感染症の発生地域に関する誤解です。観光の価値が「非日常」にあるからこそ、観光客は旅先に関する正確な地理的情報を持ち合わせていないことが多いといえます。だからこそ、感染症の発生地と旅行目的地を同一視してしまう傾向があるのです。この傾向は、海外から訪れる観光客には一層大きいといえるでしょう。

では、こうした状況を打開するためには、どのような対策が求められるのでしょうか。

業界団体などからの情報収集

まず初めに行うべきは、業界団体などから正確な情報を仕入れることです。政府や自治体が発信する情報はできる限り早期に把握するように努め、不確実な情報に右往左往することがないように注意しましょう。また、医療機関を初めとする専門家の意見を収集し、感染症の特性や予防策を知ることも重要です。
 
この段階で合わせて実施したいことが、風評被害の兆候を察知することです。
例えば、自社の所在地と周辺地域の流行状況を確認し、そこに差が無いにも関わらず、自社の所在地のみ旅行者数が減少している場合には注意が必要です。その傾向が不自然に思えるほどであれば、そこには風評被害が発生している恐れがあります。

この他、連携する業界団体や取引先からも情報収集を行い、全国的なキャンセル発生状況や旅行者の動向についても随時把握しましょう。修学旅行等に対する教育機関の対応方針、各種交通機関の対応方針、近隣地域で行われるイベントの開催状況を確認することも有効です。

もしも風評被害が発生しているようであれば、Webサイト・ブログ・SNS上の情報をリサーチして、その原因の把握に努めましょう。特定の場所や物など、原因と考えられる対象を捉えることができれば、後に効果的な対策を講じやすくなります。

必要な安全対策の実施

情報収集を行った次の段階では、必要な安全対策を講じます。具体的には、各ステークホルダーを対象とした次のような対策が求められます。

①従業員と旅行者に対する感染予防策の実施

例えば、手洗い・うがいの奨励や紙タオルの設置、アルコールによる定期的な消毒の実施など。各感染症の感染経路を把握し、その特性に合った予防策を行うようにしましょう。

②訪日外国人旅行客向けの案内文の掲示

Webサイトのトップページに案内文を掲載する他、「FAQ(よくある質問)」にも自社の対策やキャンセル規定を掲載するなど、複数箇所での掲示を行うことが大切です。また、ホテルや旅館のフロントにも欠かさず案内文を掲示し、電話対応も行えるようにマニュアルを準備しておきましょう。

③従業員や同居家族の日々の健康状態の確認

感染症の基本は予防対策にありますが、万が一、従業員やその家族に感染が確認された場合、早期発見と適切な対応に努める必要があります。出勤前や出勤時の体温測定・体調確認を行い、発熱などの症状がある場合には早期連絡と自宅待機を行うなど、徹底した管理を行いましょう。

このような対策を行いつつも、風評被害の拡大を防ぐためには、消費者の不安を和らげるための情報発信をしなければなりません。安全に旅行ができることをアピールすることに加え、万が一、旅先で感染症にかかった場合にも地域の医療体制が整っていることを伝えるなどして、いかに旅行客の安心感の醸成を促すかが肝となります。

顧客へ安心・安全を訴求する

感染症の収束段階に入ると、観光需要の回復を早めるための対策が求められます。いわゆる「需要創造期」に向けた準備を速やかに進めることが、新たな需要を想像するためのポイントとなります。ここでは、次の2つを重点的に実施しましょう。

ホームページ・SNSによる発信

1つ目は、自社ホームページや自社のSNSアカウント上での情報発信です。様々な広告媒体を利用していても、観光客の多くは最終的にホームページ・SNSを閲覧します。だからこそ、最新の情報は欠かさずに掲載するようにしましょう。

効果的な広告媒体による発信

2つ目は、広告媒体の活用です。旅行を検討し始めたばかりの方や、旅先の選定段階の方など、広いターゲットにリーチするためには、広告媒体の活用は欠かせません。そして、地域独自の魅力や観光資源を踏まえたプロモーションを行う上では、広告媒体の企画を活用することが有効です。媒体特性を自社の魅力につなげられるようなプロモーション展開を考え、実行するようにしましょう。

感染症や風評被害による需要の落ち込みから早期に回復を狙うためには、一度落ち込んだ需要をいかに早く回復させるかが重要です。そのためには、利用する媒体の選定や効果的なプロモーションに関する知見をいかに貯めておけるかが鍵となります。

そして、認知度向上やブランディング強化を行う上では、自社の独自性を明確化し、その強みを生かした計画的なプロモーションを進めることが大切です。“地域活性に特化”した企画の進め方を知りたいとお考えの方は、次のガイドBOOKを参考にされてください。


そして、観光プロモーションに効果的な広告メディアを選定するためには、複数のチャネルや施策をフラットに比較し、豊富な事例を基に企画を立てるアプローチが重要となります。様々な媒体・企画を横断的に把握したいとお考えの方は、全国観光エリアをカバーした次の検索ページをご利用ください。

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