若者の旅行とは?カギはこれからの社会を担う「Z世代」

若者たちは、旅行にどんな楽しみを求めるのでしょうか?そこにはアフターコロナの観光のあり方のヒントが隠されているかもしれません。本記事ではZ世代の行動分析とともに、観光の新たなトレンドを紹介します。

消費トレンドを生み出す影響力のある世代

マーケティング業界で注目されている「Z世代」という言葉をご存知でしょうか?
「ミレニアル世代」に続く10代〜20代前半の若者を指す言葉で、SNSやデジタルを駆使して消費トレンドを生み出す影響力があると言われています。2021年に6歳から25歳を迎えるこの世代は、現在は大きな経済力を持たなくても、10年、20年後には経済の主流を握る層になります。

※Z世代について

Z世代の定義には諸説あるが、1990年後半から2010年頃までに生まれた若年層を指す。その数は日本で約1800万人、世界では20億人に上ると見込まれる。
Z世代は生まれた時からインターネットとSNSなど交流サイトが当たり前の環境で育ったデジタルネイティブであり、前の世代である「Y世代(ミレニアル世代)」とは異なる嗜好を持つとされる。
(参考:日経BP総研|Z世代消費ーデジタルネイティブが消費を変える



若者が旅に求める目的、旅先を決めるきっかけは?

荷造り

Z世代はデジタルネイティブの世代。幼少期からSNSを通じて友達や仲間とつながりを持ち、自分の近況や価値観を発信することにも慣れています。
お出かけ先候補は友人・知人のSNSで情報収集でき、行き方はネット検索で把握できるので、観光ガイドブックに頼らずとも旅行計画を立てられるのがZ世代の特徴です。
そんな彼等が旅先を決めるのに重視するポイントは以下の3つ。

● SNS映えするかどうか
● 情報源が信頼できるか
● 観光名所より自分好みを選ぶ


①旅先の体験を共有・発信する楽しみ「SNS映え」

荷造り

楽しい体験や素敵な景色など旅先で感じた魅力を写真に残し、友人・知人に共有するのも、旅の楽しみの一つ。
特にZ世代は旅先で写真や動画をSNSにアップするのが当たり前になっているため、写真映えは重要です。
また、Z世代の消費行動は「飲食や体験」に消費を惜しまないのも特徴です。
従来の観光で重視されたように、高価なホテルに宿泊することはあまり重要ではありません。むしろ、宿泊や移動にかかる費用はネットで安いプランを簡単に見つけられるようになりました。スマホ一つでオンライン予約ができることも、旅行に欠かせないポイントとなっています。


②旅の計画で大切なのは「情報源の信頼性」

荷造り

Z世代はインターネットを通じて普段から多くの情報に接しており、"広告"か"本物"かを鋭く見分け、情報の信頼性を重視する傾向があります。そもそも、常にInstagram等の精緻なAIによって自分好みにカスタマイズされた膨大な情報が向こうからやって来る状態です。
その中で「旅先候補」としてターゲットの記憶に残すにはどうしたらいいのでしょうか?
特に興味関心を持ちやすいのは「自分の好きな人が発信する情報(口コミ)」。
インフルエンサーや芸能人のInstagram投稿、YouTube動画などの情報は、広告よりも生の声に近く親しみを持つことができます。SNSを活用したキャンペーンやインフルエンサーとのタイアップ企画は、時にテレビ番組や観光ガイドブックより有効です。


③誰もが知る観光名所より「自分好み」を選ぶ

荷造り

Z世代は多様性を重んじる世代でもあり、自分の好きなものを大切にするため、有名ブランドにこだわる人は従来より少なくなっています。趣味嗜好そのものが多様化し、人と違う好みを持ち、自分らしさを発信することが得意です。
観光に置き換えると、例えば「京都といえば抹茶」のような固定観念にとらわれず、興味関心のあるスポットをSNSで見つけて周遊するなど、オリジナリティある旅を企画して楽しむでしょう。
そこで重要になるのがブランディングです。そんな若者たちのパーソナルな趣味嗜好に刺さるような、オリジナルで特別な体験を提供し、「ファン化」することが人気を生む鍵になります。
実際、宿泊施設やホテルにおいてもオリジナリティが重視され、「読書」や「睡眠」などジャンルに特化したアクティビティ的なスポットが出現しています。


参考:HOTEL SHE, KYOTO |詩人・最果タヒの詩を展示するホテル 
参考:箱根本箱|本をテーマにしたインタラクティブ・メディアホテル 


モデルコースにとらわれない、多様な旅のあり方が歓迎される時代に

飛行機

体験を発信・共有するSNS映え、インフルエンサーなどの口コミ重視傾向、自分好みを大切にする旅のあり方など、Z世代の消費行動を観光に置き換えて見てきました。
若者世代はインターネット慣れしており、早くから膨大な情報に触れているとはいえ、実際に旅を通して現地で得られる体験は別物。豊かな感受性を活かし、見たことのないものや知らなかった文化、生の情報に触れることで刺激を受け、多くを学ぶ年頃です。
そして、コロナ禍において様々な常識が変わりましたが、これまで自粛を続けてきた分、必ず人々の観光したい気持ちは戻ってくるでしょう。それはマスク・消毒・換気などニューノーマルな旅であるかもしれません。既に観光地の混雑情報が観れるアプリなど、「密を避ける観光サービス」を自治体が提供する例もあります。密を避ける観光がメインストリームになれば、従来の人気スポットに流れていた人々は他の様々な観光スポットを訪れるようになります。

観光資源のオリジナリティを磨こう

若者世代に限らず、人が旅先で求めるものは様々です。美しい景色、アクティビティ・文化体験、撮影スポット、ご当地グルメなどの情報は、AI技術の発達によって、より一人一人の趣味嗜好にパーソナライズされて届くようになるでしょう。観光の中心地となりやすい寺社仏閣や文化遺産、遺跡、歴史的名所なども、「人々に何を体験できるか」を改めて見つめ直すことが必要かもしれません。これは多くの地域にとってチャンスでもあります。オリジナリティある観光スポットへと磨き上げ、柔軟に新しい観光文化を受け入れる「Z世代」にアプローチすることで、新しい観光のヒントが見えてくるはずです。

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