
5Gで変わる観光業界と事例
2020年も早数ヶ月が経過し、日本の観光業は新たな局面に入りつつあります。では、次のトレンドに乗り遅れないために、どのようなキーワードを押さえておくべきなのでしょうか。今回の記事では、次世代の通信インフラとして期待を集める「5G」についてご紹介します。特に、観光業界にもたらされる影響や最新事例を中心に見ていきましょう。
5Gが観光業にもたらす影響とは
次世代通信規格「5G」。これまで以上に「高速・大容量」の通信が実現するとともに、「低遅延」によるリアルタイムでのコミュニケーションや、「多接続」による多面的なデジタル体験が実現するといわれています。
では、このような次世代技術は日本の観光業にどういった影響を与えるのでしょうか。
例えば、5Gの特性を生かすことで、遠隔地で行われているイベントやライブの迫力を遠隔地から体感できるようになります。これまでは現地でなければ決して体感できることのなかった青森の「ねぶた祭り」や、徳島の「阿波おどり」など、複数のイベントを一カ所で体験することも可能になるでしょう。
特に、5Gにウェアラブルデバイスや音響、光のパフォーマンスが組み合わさることで、超臨場感・超没入感を楽しむことができると期待されています。これらに参加型のコミュニケーションを実現するアプリなどが組み合わされば、人々に更なる付加価値をもたらすことができるはずです。
実際に進む。5G×VRの観光業事例
では、具体的にどのような取り組みが進んでいるのでしょうか。今回ご紹介するのは、KDDIとJR東日本によって行われた、5GとVR(仮想現実)を活用したイベントです。
上野駅にいながら宮城県・南三陸へ行ける――。そんな体験を可能とした当該イベントは、KDDIにJR東日本が協力する形で実現しました。高速通信をウリとした5Gに加えて、南三陸から配信された4Kと360度カメラの映像を活用し、リアルタイムのコミュニケーションを可能としたものです。
この仕組みを利用するには、まず、上野駅構内でVRゴーグルを装着するところから始まります。すると、南三陸の商店街の景気が視界いっぱいに広がり、実際に商店街の人と会話しながら買い物を楽しむことができるのです。4Gを前提とした通信環境では、VRで求められる大容量のデータ通信が難しいこともあり、通信状況によっては映像がカクついたり、フリーズしたりすることも珍しくありません。しかし、4Gに比べて10~20倍の通信速度が実現する5Gでは、これらの課題をクリアすることができます。
単に通信速度が速いだけではなく、それによって実際に現地でショッピングをしているかのような体験が生み出される5G×VRの世界。このイベントでは、新たなテクノロジーによるショッピングの疑似体験ができることに加え、次世代通信インフラの新たな可能性を示しています。
5G×動画の観光業事例
5Gの普及が影響を及ぼすのは、VRを始めとする最先端テクノロジーの活用だけではありません。既に一般的でありながらも、これまでは十分に普及が進んでこなかった技術にもスポットが当てられつつあります。
その一つが、Webプロモーションなどにおける動画の活用です。5Gの普及によって多くのユーザーが日常的に、当たり前のように動画を見るようになると考えられます。それに伴い、文章や写真の組み合わせだけではなく、そこに映像・音声やストーリーを加えた動画が視聴される頻度も増えると予想されています。
特に、旅館業のように、その空間やサービスの魅力を最大限に伝える必要がある業態の場合には、動画コンテンツの持つ意味も大きなものになるでしょう。旅館の魅力の数々を視覚的・聴覚的に訴求することで、過度な価格競争に陥るのではなく、純粋にその旅館の価値を伝えることができるのです。
動画コンテンツによる訴求が有効なのは、客室や風呂といった施設紹介の他、料理の”シズル感”の演出が挙げられます。他にも、文字だけでは伝わりづらいアメニティやおもてなし(提供サービス)などの訴求も効果的です。
1分の動画が持つ情報量は、原稿用紙4500枚分・Webページ3600つ分に相当するといわれています。しかも、これらは視聴者が受け身の姿勢であっても伝わる可能性が高く、ストーリー性も合わせて訴求することが可能とされています。
近年は、動画広告を複数パターン制作し、複数セグメントに分けて配信を行う例も少なくありません。5Gの時代を見据えて、より効果的なプロモーションを行うためにも、VRや動画コンテンツなど様々なパターンのマーケティング施策を準備していきましょう。
さらに詳しい観光業の事例をお探しの方は、次のまとめ記事もご覧ください。