観光需要回復はいつ?
新型コロナウィルスの感染拡大によって、激減した外国人旅行客。加えて、日本国内でも緊急事態宣言が全国に拡大され、外出自粛によって域外の移動が大きく制限されています。全国の観光業がかつて経験したことがない苦境に立たされている今、この事態をどのように乗り越えていけばよいのか。過去に起きた2つの危機的状況を参考に、需要回復のタイミングを見ていきましょう。
まずは国内の需要回復から「Go To キャンペーン」とは
そうした中で、2020年3月に国土交通省で開かれた定例会見では、同年2月の訪日外客数は、108万5100人(前年同月比58.3%減)という発表がありました。これは、東日本大震災直後の2011年4月の同63%に次ぐ大幅な減少です。この観光需要の急減を受け、観光庁の田端浩長官は事態の収束までは「国内での感染(拡大の)防止が最大の支援策」とした上で、日本人の観光需要回復に力を入れる考えを示しています。
これらを踏まえて、政府は事態収束後に地域活性化を目的とした需要喚起策として、官民一体型の需要喚起策「Go To キャンペーン」を予定しています。観光業、運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント業などを対象に事業総額1.7兆円を計上。「Go To Travel」、「Go To Eat」、「Go To Event」という各種施策で需要を促します。
この中で「Go To Travel」は、旅行業者等を経由して、国内の旅行商品を予約することが適用条件とされています。日帰りなら最大1万円、宿泊なら1泊あたり最大2万円相当の補助が適用されます。旅行代金の最大半額が補助され、補助金額のうち7割は旅行代金の割引、残り3割は地域での土産品購入などの現地クーポンとして充当される形です。
今回の施策は過去の旅行促進キャンペーンの中でも最大規模で、地方創生および観光産業の復興に大きな効果が期待できます。しかしながら、あくまでもこれはキャンペーンという位置づけ。一時的な観光需要促進は見込めるものの、長期的に安定的な観光需要を取り戻すためには、観光地域・観光事業者のプロモーション対策が必要です。
完全な復興を待ってからでは、観光客が実際に来るまでにタイムラグが生じます。安全性と快適さは確保しながらも、自社に合ったプロモーション方法を見つけることが重要です。被災した地域の人々が、復興に向けてどのように努力しているかを知ることが、観光の価値になっている事例は多くあります。観光客を取り戻したプロモーション事例を元に、危機を機会に変える方法を検討していきましょう。
観光客を取り戻すプロモーション事例
ここからは先程取り上げた、SARSの主な感染地域とされた香港、そして熊本の事例を見ていきましょう。